[ 住居・お役立ち情報 ]
[ 6. アパートで引き起る問題の解決 ]
最終更新日:2021年2月
アパートで引き起こる問題は、まず大家や管理者と話し合い、それでも解決しない場合に311(NY市の場合)へ問い合わせるというのが基本の流れです。どの機関が建物を管轄しているかによって連絡先が異なりますので、ご自分のアパートの管轄先をご確認ください。ここでは主にNY市の場合対処法についてご紹介します。
[ 暖房とお湯の問題 ]
建物の管理者は冬の間(10月1日〜5月31日)24時間温水と暖房を供給しなければいけません。6AM-10PMまでは、外温が55℉以下になったら建物内の温度を68℉に保ち、10PM-6AMまでは、外温に関わらず建物内の温度を62℉に保つことが法律で義務付けられています。また、最低120°Fの温水が24時間365日供給されるよう義務付けられています。これに管理者が従っていないと思われる場合は、まずは必ず管理者と直接話し合ってください。それでも解決できない場合は311に電話し、HPDスペシャリストとお話しください。何度も311に電話をし、Reference Number を控えておくことが重要です。
[ 家主への苦情 ]
常習的に暖房やお湯を得られない居住者は、その苦情を家主に対して手紙にします。配達証明付郵便(Certified Mail, Return Mail Requested)で送ることが重要です。この手紙内容は問題点の推移や程度、そして問題の起きた日付や詳細を記録する必要があります。また暖房問題は、日々の暖房状況の図表を含め、暖房がきちんと作動していない日の外と屋内の温度を記録すると、より効果的です。また、以前の居住者から暖房の苦情があった場合には、何がどのように処理されたか等を手紙に書いてください。最後に、居住者は家主からの返答の期限を制定し、それが得られない場合は必要な法的手段をとることを述べるべきです。
[ 苦情と緊急の処置 ]
Housing Preservation & Development (HPD) と施行基準課(DCE) は暖房が必要となる期間(10月1日〜5月31日)、24時間の苦情受付ライン311(212-NEW-YORK)を設置しています。居住者はできる範囲で家主の氏名、住所、家主もしくは管理者の電話番号を伝えると調査に役立ちます。もし問題が建物全体におよぶ場合は建物の住人で組織を作り、建物がきちんと検査されるまで日々住人たちが繰り返し電話をする必要があります。
HPDは、家主による修理は「家主の応諾(Owner Compliance) を好みます。検査官の調査結果により緊急な問題であることが確認された際には、緊急対策局(Emergency Service Bureau) が家主、もしくはその建物管理者に対し決められた期間内に修理の必要性があることを通達することになっています。当局によると、調査された90%の家主と連絡が取れ、その内75%はHPDの修理基準に従うと報告されています。しかしながら、家主が今までHPDに従ったかどうかの記録は再検査が常に行われていないため残されていません。この方法では当たり外れがあると言われています。例えば、居住者が修理されなかった問題点を文面にして通知していない場合、HPDでは違反が訂正されたことになっています。
[ 法廷でなされること ]
居住者は暖房やお湯が得られないため家賃の支払いを差し押さえることもできますが、家主は家賃未払いとして居住者を住居裁判所に訴えることができます。この場合、居住者は裁判所に家主が「生活水準の保証(Warranty of Habitability)」に反したことを弁護理由として利用し、具体的に何が問題であるのか例証しなければいけません。また、問題が調査で確認できる場合には裁判所を通して検査命令を申請できます。これにより居住者の弁護理由の確認がされます。更に、居住者は本来あるべきサービスが使用できなかった場合、家賃の割引の訴えを家主に対し申し立てることができます。なお、居住者の申立を実証するためにも、問題となった時間、日付、気温等を記録として残すことが重要な要素となります。修理やサービスの復旧が必要なため、居住者は家主に対し住居裁判所に訴え(Housing Part Action; HP) を起こすこともできます。この利点は、訴えが認められた際に裁判所により修理、家賃の割引等が命じられ、さらに家主が裁決に従わない場合は罰金、法廷侮辱罪の手続き、時折投獄の判決なども処置として取られます。家主に移住規定に応じさせる方法としては最も迅速で効果的です。
[ ニューヨーク州住居/地域復興課:DHCR (State of New York Division of Housing and Community Renewal) に苦情を申し立てる場合法廷でなされること ]
DHCRは家賃安定(Rent Stabilized) もしくは家賃抑制 (Rent Controlled) アパートの住居法を施行する州立団体で、これらの法律に基づき居住者の様々な苦情が処理・解決されます。取り扱われる苦情は次のものを含みます:法的に制限されている家賃問題、過大請求、賃貸契約、賃貸契約更新、サービス減少、嫌がらせ等。また、家主による家賃値上げや立ち退き申請もDHCRは処理しています。
苦情が通知された建物の検査がDHCRには義務付けられており、苦情が確認された場合、家賃の値下げの交渉がされたり、将来的な家賃の値上げの差し止め命令を下すこともできます。家賃は問題が改善されるまでは据え置きされます。家主は家賃を元に戻すためには手紙で請求する必要があり、もし家主が実際に問題を正していない場合、居住者は家主の主張に対して挑むことができます。
苦情の申請用紙はDHCRのウェブサイトよりダウンロードできます。
[ 苦情申請手続きと注意点 ]
- 全ての申請用紙を2部ずつ提出する。原本とコピーを両方提出する。
- 全ての記録をとっておく。申請用紙、その他重要書類は自分用のコピーをとっておく。賃貸契約書等の原本は送らない。原本が必要な場合はDHCRから通知が来る。
- 申請用紙提出は郵便または直接出頭して提出する。郵送の場合は Certified Mail または書留 (Registered Mail) にする。
- 出頭して提出する場合は、提出された申請用紙の自分用コピーにも受理日付の判をもらう。
- 苦情申請中は家主またはDHCRと口頭での約束や同意をしない。
- 苦情申請の用紙はタイプまたは活字で記入する。
- 苦情は長々と説明せず簡潔に文章にまとめて記入する。家主の主張への反証は申請者の苦情に対する返答として提出する。家主の返答は無視するべきでない。家主が返答を提出しない場合には家主は怠慢と見なされる。アドミニストレティブ・レビュー申請(PAR-Petition for Administrative Review) は DHCR 指示の35日以内に提出しなくてはならない。
- 申請用紙提出先は Borough Rent Office または DHCR-Office of Rent Administration, Gertz Plaza, 92-31 Union Hall Street, 6th Floor, Jamaica, New York 11433。
[ 安全保持の為の修理等 ]
以下に関する質問や問題が生じた場合は、ご家族の安全のため必ず 311 にお問い合わせください。
- 壁がはがれ落ちてきている
- 煙探知機がない、または調子が悪い
- 一酸化炭素検知器がない、または調子が悪い
- 窓の外に格子がない
弁護士がいない方で質問がある方は以下の団体がホットラインで手助けしています。Housing Court Answers