[ 消費者・お役立ち情報 ]
[ 1. 少額裁判(Small Claims Court)への提訴の仕方 ]
知り合いに貸したお金が返ってこない。大家さんがデポジットを返してくれないなどの金銭トラブルでお困りですか?
「小額裁判所」は、比較的定額な金銭紛争に対して迅速かつ簡易な解決手続きを提供しています。小額裁判所では、弁護士に依頼するような複雑な手続きは要求されず、通常の裁判で見られるような厳格な形式も伴っていないので、訴訟費用及び時間を節約する事ができます。以下、小額裁判について簡易に説明しますが、詳細について質問がある場合は、裁判所の裁判官に直接質問される事をお薦めします。
尚、小額裁判所は相手方に対する復讐の手段として利用されるべきではありません。もし、提訴目的が相手方に対する威圧、あるいは嫌がらせであると判断された場合、裁判所は案件の審議を拒否する場合があります。感情的になっている場合は、訴訟原因は何か、そしてどのような救済を求めているのかをしっかりと見つめ直す必要があるでしょう。
[ 請求内容 ]
小額裁判所を通じて相手方に請求できる救済手段は金銭の支払いに限られており、相手方の特定の行為(あるいは行為の差し止め)などを請求する事はできません。また、請求する金銭債務あるいは賠償額は $5,000 以下でなければなりません。
[ 提訴する裁判所 ]
どの小額裁判所に提訴するかは、訴えを起こす相手方の住所によって決まります。例えばニューヨーク市の小額裁判所に提訴する場合、相手の自宅あるいは職場の住所がニューヨークになければいけません。但し、訴えを起こす側は、ニューヨーク市在住である必要はありません。各地域のスモールクレームズコートの所在地と電話番号をご参照ください。
[ 提訴の手続き ]
小額裁判所の提訴の手続きは、当該裁判所に出頭し、必要とされる手数料を支払い、担当官に必要書類を作成してもらう事で開始します。手数料は請求額によって決定され、$1,000 以下の場合は $15、$1,000〜$5,000 は $20 です。担当官に情報を提供する際に重要な事は訴訟原因を明確にする事です。訴えの内容を整理するために以下のチェックリストをお使いください。
- 損害を受けた対象:動産(車など)、不動産、身体
- 履行されなかった行為:修理、適当なサービスや商品の提供
- 返却されなかったもの:保証金、敷金、動産、貸付金
- 支払われなかったもの:給料、その他の賃金、保険金、賃貸料
- 違反された契約:売買契約、賃貸契約、保証契約
- 損失したもの:荷物、その他の動産、不動産の使用権
- 請求金額
- 事件発生日時
小額裁判所に、弁護士が訴えを提起する者の代理として出頭する事は特に禁止されていません。但し、弁護士以外が代理人となる場合は、血縁あるいは姻戚関係が必要とされ、その代理人は何の報酬も受け取ってはなりません。
[ 郵送による提訴 ]
ニューヨーク市の小額裁判所に提訴する者がニューヨーク州外に在住の場合、あるいは身体に障害があり出頭が困難な場合、郵送によって提訴する事も可能です。小額裁判所発行の提訴用紙を入手し、これに必要な事項を書き込んで、本人宛の返信用切手付き封筒及び適当な手数料分の「クラーク・シビルコート」(“Clark, Civil Court”) 宛のサーティファイドチェック (Certified Check) かマネーオーダー (Money Order) を同封して送付します。
申請する際、提訴する方の名前、住所、提訴する理由、賠償金の希望額、そして提訴原因の事柄によって被った損害(例:事故にあった車を修理に出している間のタクシー代)を必ず書いてください。又、訴えたい人の名前、住所も書いてください。もしもその方の働いている会社が通称を使っている場合は正式名称を調べる必要があります。例えば “Fizzie Appliances” や “Fizzie’s,” のような会社の正式名称は “Fizzie’s Appliance Stores, Inc.” かもしれません。調べるためにはその会社がある地区の County Clerk オフィスに行ってください。
[ 審問の準備 ]
提訴手続き後、3〜6週間で原告と被告両者に裁判日時と内容を記した通知が届きます。審問前に、ケースの立証に必要と思われる情報を全て揃えておきましょう。争議の事実関係の立証に役立つもの(例:手紙、写真、支払済の請求書、消印付きの小切手、レシート)は審問に持参します。証人がいる場合は同伴してもらうとよいでしょう。
[ 審問 ]
仲裁人 (Arbitrator) との審問では、原告側の状況説明、証拠提出、証人証言に続き質疑応答が行われ、被告側にも同じ事が行われます。判決は裁判後数日から数週間で郵送されます。
[ 欠席判決 ]
被告が欠席の場合、裁判所は「審理」を指示します。この時、審問では原告であるご自身の陳述に基づき、被告欠席による原告の勝訴、または原告のケース非立証が言い渡されます。欠席裁判を勝ち取っても、被告は正当な理由があれば再審を要求できます。
[ 控訴 ]
判決に満足いかず、公正な裁判がなされなかったと信じる場合は、判決が下された日から30日以内に控訴裁判所 (Appellate Court) へ控訴する事ができます。この際に最初にクレームを提起した小額裁判所へ行き、控訴の旨を伝えます。控訴裁判所ではそのケースに関して公正な裁判がなされたどうか審査されます。
[ 支払いの執行 ]
勝訴後、30日を過ぎても支払いがなされない場合は判決文のコピーを治安官 (Sheriff) か執行官 (Marshall) に強制取り立てを要求できますが、この際に被告の所有物や資産保管方法などの情報を提供する必要があります。銀行口座がわかっている場合は、被告の口座資金を差し押さえる事も可能です。
[ その他のオプション ]
非営利団体のウェブサイトでは提訴書類の提出代行を行っています。ウェブサイトのリンクは以下です。オンライン上で必要な情報を入力していき、最後に入力した提訴用紙をレビューできます。プリントし、記録として書類を保存する事も可能です。
TurboCourt
http://turbocourt.com/go.jsp?act=actShowState&tmstp=1267738993090&id=100
nCourt
https://www.ncourt.com/
また、各地区にある Court Dispute Referral Centers では、訴訟を避けた方法で決着をつけるのを手伝ってくれる機関に関しての資料がもらえます。